金木は、私の生れた町である。津軽平野のほぼ中央に位し、人口五、六千の、これという特徴もないが、どこやら都会ふうにちょっと気取った町である。善く言えば、水のように淡泊であり、悪く言えば、底の浅い見栄坊の町という事になっているようである。「津軽」
津軽平野のちょうど中程にある「金木(かなぎ)町」。
車でその街に入り、小さな橋を渡り、細い道を抜けると、
突然右側に、赤いレンガ塀に囲まれた、赤い大屋根の巨大な家が現れる。
小さな町に似合わないこの大きな建物に少々驚きつつ玄関をくぐると、
今度はもっとびっくりする事になる。
和室の欄間、襖、飾り棚。洋間の天井飾り、椅子、カーテン・・・・・。
隅々にまで、その時代に考えうる、全ての贅を尽くした豪華な装飾。
112年前、この家で、太宰が生まれ少年時代を過ごした。
あまりにも豪華過ぎるこの家を、少しは自慢に思っていたようだが、
どうやらあまり好きではなかったらしい。
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