あたふたと、駆け足で過ぎ去った年末年始。
松の内も今日で終わり、お正月気分から
日々の日常へと、また時間が流れていきます。 
暴風雪のしばれる日々。
年末から積もり始めた雪で、
津軽の冬らしい景色になりました。
今冬の冬らしい冬は、短いのかも知れません。
これから積もっても、あと約一か月ですから。

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 あの日、朝から、雪が降っていたわね。もうせんから、
とりかかっていたおツルちゃん(
)のモンペが出来あがったので、
あの日、学校の帰り、それをとどけに中野の叔母さんのうちに寄ったの。
そうして、スルメを二枚お土産にもらって、
吉祥寺駅に着いた時には、
もう暗くなっていて、雪は一尺以上も積り、なおその上やまずひそひそと
降っていました。私は長靴をはいていたので、かえって気持がはずんで、
わざと雪の深く積っているところを選んで歩きました。(中略)
 私はスルメをあきらめてお家に帰る途々、できるだけ、
どっさり周囲の美しい雪景色を眺めて、眼玉の底だけでなく、胸の底にまで、
純白の美しい景色を宿した気持でお家へ帰り着くなり、

「お嫂さん、あたしの眼を見てよ、あたしの眼の底には、
とっても美しい景色が一ぱい写っているのよ。」

「なあに? どうなさったの?」お嫂さんは笑いながら立って
私の肩に手を置き、「おめめを、いったい、どうなさったの?」

「ほら、いつか兄さんが教えて下さったじゃないの。
人間の眼の底には、たったいま見た景色が消えずに残っているものだって。」
                        太宰 治『雪の夜の話』

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予報通り、午後から雨が降ってきました。
雨が多い冬です。
雨が降ると雪は融けるのですが、冬の雨は、
津軽では雨返しと云って、その後には吹雪がきます。
 はらはらと舞う雪、ごうごうと音を立てる吹雪。
美しい雪、怖い雪。
津軽は、今、白くて冷たい季節。